2016年08月14日

第24回 長澤啓さん&柄沢聡太郎さん(株式会社メルカリ執行役員)

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イクボスロールモデルインタビュー第24回は、株式会社メルカリの執行役員CFO長澤啓さん、執行役員CTO柄沢聡太郎さん。”新たな価値を生みだす世界的なマーケットプレイスを創る”というミッションを掲げて大躍進中のフリマアプリ「メルカリ」のサービスを提供している会社だ。HRグループ石黒卓弥さんにも加わっていただき、ご自身の働き方や、新人事制度「merci box(メルシーボックス)」についてもお話を伺った。

<長澤啓さんプロフィール>
慶應義塾大学総合政策学部卒業後、三菱商事において金属資源分野における投資及び主にエネルギー、リテール、食品分野等の領域におけるM&Aを担当。2007年にシカゴ大学経営大学院を卒業の後、ゴールドマン・サックス証券にジョインし、東京及びサンフランシスコにおいて主にテクノロジー領域におけるM&AやIPOを含む資金調達業務を担当。2015年6月にCFOとして株式会社メルカリに参画。1976年生まれ。5歳と2カ月のお子さんのパパ。

<柄沢聡太郎さんプロフィール>
在学中である2007年末からエンジニアグループnequal を立ち上げ、サービスなどを運営。2010年中央大学大学院卒業後、グリー株式会社に入社。退社後2011年2月株式会社クロコスを立ち上げ、CTO就任。日本初のFacebook社”認定マーケティング開発社”となる。2012年8月、クロコスをヤフー株式会社へ売却。その後もヤフーのグループ会社としてクロコスの事業成長と平行して、ヤフー自身のソーシャルの展開、新規事業を担当。強い開発組織のためのマネージメントを経験した後、2015年5月、株式会社メルカリに参画。執行役員CTOとして、技術領域全般を統括。1985年生まれ。4カ月のお子さんのパパ。


【育休中の給与を会社が100%保障】
安藤:メルカリは、いつ創業されたんですか?

長澤:2013年2月創業です。

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安藤:長澤さんは同業からの転職ですか?

長澤:いえ、金融機関から2015年6月に転職しました。現在、5歳の子と、生後2カ月の子がいます。前職は金融関係で、仕事が忙しく、育児にそんなに関わることができませんでした。妻も働いていましたから、託児所に送りに行くのは自分でしたが。妻の実家近くに住んでいるのですが、実家のサポート無しでは難しかったですね。

安藤:柄沢さんはいかがですか?

柄沢:生後4カ月の子がいます。妻は育休中ですが、復帰は保育園次第です。

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長澤:今住んでいるところは待機児童が多い地域で、下の子の保活が大変です。上の子は幼稚園に通っています。

安藤:産休・育休期間中の給与を会社が100%保障する制度(女性は産前10週+産後約6カ月間の給与を100%保障、男性は産後8週の給与を100%保障)を導入されたそうですが、お二人は育休を取得したんですか?
※新人事制度「merci box(メルシーボックス)」

長澤:育休を3カ月取っています。今も育休中なんですよ。育休中でも仕事は止まりませんから、育休を取りながらフレキシブルに働いています。チームには若干迷惑をかけている部分もあると思いますが。

安藤:育休中でも働けるということは意外と知られていませんね。育休を取ると、その間は一切仕事をしてはいけないと考えがちですが、2014年の育児・介護制度法改正によって、月80時間までなら働けることになっています。男性は育休を取ると隔絶感からネガティブな気分になる人もいるから、育休中でも働けるといいですね。会社から労働を強制してはいけませんが、育休中からフレキシブルに働くパパやママがが、今後増えていくのではないでしょうか。

柄沢:僕も1カ月間は育休をしっかり取りました。その間、週1日は出社していましたね。

安藤:出産で里帰りはしなかったんですか?

柄沢:里帰りはしていません。いざとなれば親に来てもらえますが、基本的には夫婦2人でやってました。でも、やってみたら意外と2人でやれると思いました。子どもが生まれる前は同世代のママたちから「大変、大変」って聞いていましたけれど。でも、今思うと、その大変さって、パパが子育てにあまり参加できていないからかも、と思ったり。

安藤:パパが子育てに手を出すと、ペースを乱されるというママもたまにいますが、奥様はいかがですか?

柄沢:全くそういう意識はないと思います。授乳以外は、全ての作業、2人でできますから。

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【制度と風土が育休取得を後押し】
安藤:子育ての大変さの中味って、子どもの成長と共に変わっていくんです。乳幼児の頃は家庭内の不慮の事故なんかも多い。講座では、「ワークライフバランスの『ライフ』は、子どもの命を守ること」と伝えています。夫婦でいい働き方ができていると、子育ても2人でできるから安全ですね。

長澤:1人目の子どもの時もやることはやっていましたが、今の方が会社の理解もあり、時間を使いやすいですね。会社が心からサポートしてくれていることを感じます。育休を取ることに対しても、全く躊躇ありませんでした。前職の証券会社の時とは全く違いますね。前職の時も制度はありましたが、実際に育休を取る人はほとんどいませんでした。

安藤:「制度より、風土改革」ってイクボス研修では言っています。日本人はどうしても空気読んじゃいますからね。職場で言い出しにくくて、育休を取得できなくなる。

柄沢:制度ができてから、みんな育休取るようになりましたね。子どもが生まれて育休取らないと、「何で取らないの?」と言われちゃうくらいです。

安藤:メルカリさんの「育休中の給与補償100%」は画期的ですね。

石黒:採用の場面でも、伝えています。社員の平均年齢は30歳くらいです。また労務担当も育児に協力的で、積極的に提案してもらえることもあります。例えば、僕が子どもの病気のときに有給休暇を使っていたら「有給ではなく看護休暇を使ったらどうか」って教えてもらいました。嬉しいですよね。有給がまだ残っていたので、そちらを使っていたんですが。

安藤:いまや、「ペットの忌引き休暇」なんていう制度を作っている会社もありますからね。両立支援は創業当初からですか?

石黒:元々協力的な社風ではありましたが、2016年2月に「merci box(メルシーボックス)」として人事制度をまとめたものを導入しました。代表の山田にも昨年子どもが生まれたこともあり、従業員にも子どもが生まれる人が少しずつ増えてきて、ちょうど需要があったということですね。あとは企業としてのブランディングということもあります。

それぞれがプロフェッショナルとしてパフォーマンスを出せるように、休むときはしっかり休むというのが、従業員に届いていると思います。

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安藤:メルカリさんには妊活支援の制度もありますね。(高額な費用が発生する可能性のある不妊治療を行う場合、治療開始から10年間、所得や年齢の制限なく、その費用を会社が一部負担)

石黒:社外の友人から、不妊治療に非常に高額なお金がかかったという話を聞いたこともあります。

安藤:少子化だから公的な支援(助成金制度)もありますが、「保険適用」未だ議論中です。

石黒:妊活の相談も増えてきています。年齢制限もありませんし。

安藤:不妊の原因の半分は男性です。また「二人目不妊」に悩むカップルの割合は、確実に増えていると言われています。

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【制度は利用しやすく&仕事のパフォーマンスをしっかり求める】
長澤:制度の利用しやすさを認知してもらうことはとても大切だと思っています。ただし、プロとして働いているのだから、仕事のパフォーマンスはちゃんと出して欲しい。自分自身もそういう姿勢で働いています。

安藤:充実した支援にのっかるだけのフリーライダー社員に悩む企業もあります。

柄沢:会社の支援はいろいろ充実しているけれど、福利厚生があって当たり前ではなく、会社に貢献しているから制度を使えるという考え方が大事だと思っています。

安藤:タイムカードはあるんですか?

柄沢:一応、勤務時間は記録しています。でもフレックスで働いている人がほとんどです。コアタイムは設定しています。

安藤:上司との定期的な面談はありますか?

柄沢:人事やマネージャーとはかなりシビアに面談をします。確実に成果を出せるように働く→フィードバック→成果に応じてた形の昇降給、を実施しています。。

安藤:スタッフも成長していかなくてはなりませんね。

柄沢:緊張感を持って働いていると思います。

安藤:決まった時間の中でハードに働いて、生活を楽しむのがいいですね。

石黒:妊活や、病児保育もですが、今後介護などについても考えていくことが必要だと思っています。介護が始まる従業員も出てくると思います。

安藤:従業員の平均年齢が若いから、介護の課題はこれからですかね?

石黒:エンジニアには40代以上のメンバーも多く在籍しています。他にも声としては学童保育の支援もあるといいなという話も出ています。

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安藤:社内制度を変えると、事業への可能性が見えてくることもあります。

長澤:育休やいろいろな制度を利用することは悪ではない。ロングタイムで見たらパフォーマンスは落ちていない、むしろ事業へのアイディアが生まれたり、パフォーマンスが上がっていくということが大切だと思います。

安藤:ちまたの40~50代の管理職の多くは、「休むことは悪だ」と思っている。

長澤:長時間職場にいることが評価されるという評価システム自体を変えるべきだと思います。フェアな評価ではありません。

安藤:特に女性はフェアネスの意識が強いですから、ちゃんと評価されない会社からは黙って去ってしまうでしょう。

柄沢:メルカリの制度についてのいろいろ問い合わせをもらいますし、真似てもらうことは嬉しく思いますが、制度を作る前にもできることがあると思うんですよ。社員の評価をどこで見るか、社員がどうパフォーマンスを出せるかという事が大事ですね。例えば、仕事が早く終わって帰る人が評価されず、遅くまで残っている人が評価される環境で、制度だけ導入してもうまくいきませんよね。。

石黒:仲間意識でだらだらと残業しちゃう、というような雰囲気は、よくないですよね。メルカリには部活制度、という仕組みがあり、その一例としてバスケ部だったりワイン部だったり。皆定時に一斉に帰って、部活を楽しんでいますよ。

柄沢:僕は基本的には育児のために夕方5時に帰っています。もちろん何かあればリモートでも対応できるので。。

安藤:上司が「早く帰っちゃって困る」と思うのか、「早く仕事を終えて帰って、すばらしい」と思うのか。評価の考え方を変える、労働時間の概念を変えることが必要ですね。
メルカリさんの取り組みや企業風土はきっと、会いバーシティ推進を目指す他企業にとっても参考になるものです。これからも期待しています。今日はどうもありがとうございました!

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(筆:高祖常子)
posted by イクボスブログ at 14:56| Comment(0) | 日記 | 更新情報をチェックする
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