2015年08月27日

第18回 澁谷耕一さん(リッキービジネスソリューション株式会社 代表取締役)

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イクボス・ロールモデルインタビュー第18回は、リッキービジネスソリューション株式会社 代表取締役の澁谷耕一さん。興銀マンとしてばりばり働いていたが、妻の病死をきっかけに子ども3人の育児と仕事の両立のため起業を決意。銀行を退職し、亡き妻の愛称「リッキー」を社名とした会社を起こした。妻の死を通してワークライフバランスの大切さに気づき、出産や育児など社員のライフステージの変化に合わせたフレキシブルな働き方を推進している。社員の生産性を上げて業績アップを計り、基軸となる中小企業向けのコンサルティング事業に加え食品支援事業など幅広い事業を手がけつつも、「やりがいがあるのは仕事よりも子育て」ときっぱり言い切る澁谷社長に、イクボスの価値観や今後の展望などについて伺った。(インタビュー:NPO法人ファザーリング・ジャパン代表 安藤哲也)

〈澁谷耕一さん プロフィール〉
1954年北海道生まれ。一橋大学卒業後、日本興業銀行に入行。香港支店副支店長、みずほ証券公開営業部長などをつとめる。2002年、同社を退職し、中小企業向けのコンサルティング業務を行う「リッキービジネスソリューション株式会社」を設立。2013年4月には神奈川県政策顧問にも就任。起業時は高3、高1、小4だった子どもたちも全員成人し、現在は孫も2人。忙しい合間をぬって、子どもたちと過ごす時間を今でも大切にしている。

【妻の死をきっかけに銀行員を辞め、48歳で起業】

安藤:澁谷社長は銀行員を辞め2002年に起業されたそうですが、きっかけを教えてください。

澁谷:大学卒業後、日本興業銀行に入行し、ニューヨーク支店などの勤務を経た後、香港支店の副支店長もつとめていました。私自身はこのままずっと銀行員としてバリバリ働き続けていきたいと思っていたのですが、妻ががんを患い、2001年2月、45歳という若さで先立たれてしまったんです。あとには当時高校3年の長男、高校1年の次男、小学4年の長女が残されました。まだ小4で幼い下の娘に寂しい思いをさせたまま今の仕事を続けられない、育児と仕事を両立できる仕事を、と考え、48歳で自宅での起業を決めたのです。

他にやりたい仕事があって銀行員を辞めたわけではないので、これから何をやって食べていくかいろいろ悩んだのですが、13年前、日本はデフレ経済で、中小企業が銀行からお金をかりるのが難しい時代でした。中小企業も銀行が納得するような、融資に必要な事業計画書が作れず、資金を借りることができない状態だったのです。そこで、銀行と中小企業のコミュニケーションギャップを埋めるために、中小企業に事業計画書の作成を助言するだけでなく、企業の強みやどこに無駄があるのかなどの要素も盛り込んだ計画書を書くことで、経営をどういう方向にもっていくか、戦略立案の助言を行うビジネスを始めました。

安藤:失意の底から立ち上がり、起業して順調に業績を伸ばされ、現在は食品支援事業も展開されているのですね。

澁谷:そうですね。2006年に、地方銀行と共催で、食品製造業者と食品バイヤーの出会いの場を提供する展示会「地方銀行フードセレクション」を始めました。以前から地方銀行が地元のバイヤーをよび、取引先である食品製造業者や農水畜産業者の商品を紹介する取り組みを行っていたため、これを全国規模で展開しようと考えたのです。おかげさまで好評を博し、今年は第10回目を迎えるのですが、参加銀行は41行、企業は600社に増えました。この取り組みは地域の食の交流と活性化にもつながり、当社では、ここで出合った地域の食品の通信販売業務も行っています。

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安藤:御社の社員数は?

澁谷:22人です。女性の割合が半分くらいで、子育て中のお母さんが多いですね。女性社員は出産すると育児休暇を取得し、2、3年で戻ってくるパターンが多いですね。復帰してからは、すぐにフルタイムで働くのでなく、最初は週に1日、勤務時間は10時〜15時からスタートし、子どもの成長に従って勤務日数や勤務時間を少しずつ増やしていくなど柔軟な働き方を積極的に取り入れています。

安藤:ライフステージの変化に応じて働き方が変えられるのは、ママ社員にとっては非常にありがたい制度ですね。ところで澁谷さんは、銀行員時代はどのような働き方だったのですか?

澁谷:銀行員時代は、いわゆる「猛烈サラリーマン」でしたよ。仕事中心で、家事や育児は妻にまかせっぱなしでしたから。ただ、ひとつ驚いたのは、ニューヨーク支店時代のアメリカ人の働き方です。当時の日本のビジネスマンは残業につぐ残業の毎日だというのに、アメリカのビジネスマンは、夕方5時に帰って家族と一緒にごはんを食べたりテニスを楽しんだりしているんです。奥さんも働いているけれど、「ダブルインカム・ノーキッズ」ではなく「ダブルインカム・ウイズキッズ」みたいな発想で、奥さんと連携して子育てしながら働く姿はカルチャーショックでしたね。彼らに影響を受けて、私もニューヨーク支店時代は週末家族にパスタを作ったり、その頃コロンビア大学の大学院に通って勉強していた妻が不在の時には、子ども達を動物園に連れていったりしていました。でも、その後再び日本に帰国してからは仕事一辺倒で、家事や育児の95%は妻にまかせていましたね。

安藤:ワークライフバランスの大切さに気づいたのはいつ頃ですか?

澁谷:やはり、妻が亡くなってからですね。亡くなってすぐのころはまだ銀行に勤めていたのですが、当時、一番下の娘はまだ小3ですから、学校で熱を出すこともあったわけです。すると、地方に出張中でも会議中でも学校から電話がかかってきて「早くお子さんを迎えに来てください」となるわけです。近所の方に助けてもらったりもしましたが、いろいろ大変でしたね。

あともうひとつ、当時は娘の塾のお迎えがあるので定時の5時半に帰るようにしていたのですが、帰ろうとすると急に「これから会議やるよ」と言われることもありまして……。娘が待っているのにどうしようって、これも本当に困りましたね。今まで妻が家にいてくれたから、夜の9時、10時までずるずる仕事して、時にはその後飲みに行ったりしていたのが全くできなくなり、これまでいかに自分が生産性のない仕事をしていたかわかりました。と同時に、仕事と育児を両立させるには、ワークライフバランスの発想が必要であることを痛感しました。

安藤:その時の経験が、今の会社での社員のマネジメントに生きているわけですね。

澁谷:まさにそうです。子どものいる社員の気持ちがわかるから、彼女たちが困るようなことはしないようにしています。ですから、当社では、午後6時から突然ミーティングを始めるようなことは一切しません(笑)。また、小さい子はすぐに熱を出しますので、子ども園で発熱して突然お迎えに行かなくてはならなくなった時などは、早退したり休んだりしてもらっていいよと常に言っています。

安藤:イクボスですね。でも、御社には独身の社員の方もいらっしゃいますよね。「ママ社員ばかり優遇されて」みたいな意見が出たりはしないのですか?

澁谷:ママでもある社員は、自分がいわゆるイレギュラーな働き方をしていることを自覚していて、皆に迷惑をかけられないぶんしっかり仕事をしようという意識の高い方が多いんです。業務が滞るようなことがないので、そのような不満は出てこないですね。

安藤:チームを組んで仕事をするというよりも、一人ひとりの仕事が決まっていて、スタッフ同士がお互いのスケジュールを共有しながら仕事を進めていくのですね。

澁谷:そうですね。男性社員の中にも子育て中の社員がいるのですが、やはり子どもがまだ小さいので結構熱を出すんです。でも彼らの奥さんもフルタイム勤務で忙しく、簡単に会社を休めない女性が多いので、私から彼らに「子どもが体調を崩した時はいつ休んでもいいよ」と言っています。先日も、午前の会議中、男性社員あてに保育園からお迎えコールが来ました。連絡を受けた彼はそのまま保育園にお迎えに行き、フルタイムで働く奥さんと連絡をとって午後3時に看病を交替し、夕方社に戻って仕事していましたね。ご主人がぱっと動けるので奥さんもすごく喜んでくれて、「私がこうして仕事を続けていられるのは、澁谷社長のおかげです」って私に感謝の手紙を送ってくれるんです。

安藤:違う会社の社員からも感謝されちゃう(笑)って、うれしいですよね。

【生活者目線で考える“共感力”が、これからのビジネスを支える】

澁谷:そうですね。会社でフレキシビリティを持つと、いろんな立場の人が働けるんです。また、うちの会社は女性社員、ママ社員の比率が高まりつつあるのですが、ママ社員が増えると生産性が上がるんですよね。どうしてかというと、お母さんたちは子どものお迎えや夕食作りがあるから、効率良く仕事をして6時前にスパッと帰るんです。すると、男性社員もそれにつられて早く帰るようになり、結果的に生産性が上がるんです。女性も男性も、プライオリティを常に考えながらしっかり仕事をして早く帰宅し、家族と過ごす時間やプライベートを楽しむ時間を大切に過ごしてほしいと切に思います。私は37年半仕事してきましたけど、「子育てと仕事、どっちがやりがいありましたか?」って聞かれたら、迷わず「子育てです」と答えますね。

安藤:なるほど。

澁谷:会社を始めて間もない頃、塾に通う娘のために、私は毎日手づくりの弁当をもたせていました。無理せずコンビニなどで買ってすまさせればいいという考え方もありましたが、塾で友達といっしょに食べる時、娘にひけめを感じてほしくなかったし、お父さんも一生懸命がんばっているんだということを伝えたかったのです。で、塾が終わる時間に駅の改札口のホームで娘の帰りを待っていると、娘が「パパ!」って駆け寄ってきて、私にぎゅっと抱きつくんです。なんて幸せなんだって。本当に、あの感動は忘れられないですよね。妻が亡くなり、ひとり親の家庭になって初めて、今までに感じたことのない子育ての大きな喜びを知ることができたんです。

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安藤:子育ては期間限定ですから、楽しめる時期に楽しみたいですよね。澁谷さんのようなイクボスの元で働く社員の皆さんは、職場の理解もあり、ワークライフバランスを取り入れた働き方ができており、まさにフロントランナーです。
高齢化社会の日本は今後、親の介護の問題も出てきます。介護はボス世代自らの課題でもあるし、独身やお子さんがいない社員の方でも介護の必要性が生じることも当然あるわけです。育児だけでなく親の介護など、社員のさまざまなライフステージの変化に適応する職場環境は、どの会社にもないといけないと思うのですが、実際のところ、大企業の中には、長年培ってきた慣習や風土をいきなりは変えられない会社もあるようですね。中小企業も、「うちは中小だからワークライフバランスを取り入れるのは不可能」という方もいらっしゃいますがそんなことはないです。中小だからこそ、御社のようにフレキシブルな働き方を可能にしている会社もあるのですから。

澁谷:本当にそう思います。中小企業のいいところは、例えば、トップである僕が「いいよ」っていえばOKなので、素早い決断で生産性を上げることができることだと思います。時代は、長時間労働から短時間労働へと確実に変わってきています。これからは、組織の一方的な論理だけで物事を押し進めていくというよりも、自らの子育て体験を振り返り、家事や育児をはじめとするさまざまな生活シーンで養われる、いわゆる生活者目線で考える“共感力”のようなものが、ビジネスを支えていくような気がしますね。

安藤:生活者目線で考えたいろんなアイディアを社内で自由に発言でき、よいアイディアはすぐに具現化できるような御社の環境は、「自分たちで考えたことが形になっていく」という喜びを味わえますよね。反面、大企業の社員を見ていると、「自分の仕事に退屈している」という人が増えてきてしまっているように感じることがあります。上から言われたことしかできない・やらない。管理職も、数字をもたされているのでリスクを考えてしまって部下の裁量に任せられない。そうなると、働く意欲もだんだんそがれてきて、企業の成長力を削いでいます。

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澁谷:確かにそうですね。話は少しそれますが、2013年から神奈川県の政策顧問の仕事もしているのですが、女性の働き方について県の方と話していると、「子育てして3年もたつと、職場復帰できないですよね」と当然のようにおっしゃいます。そのたびに「いや、できます。そんな風に思わないほうがいいですよ」ってお話しています。今はネットなどでいろんな情報が入手できますので、本人に「復帰したい」という意識さえあれば、いつでもできますよね。子育てを経験すると人間的に本当に成長できますし、視野も広まります。それをぜひ、社会に生かしてほしいんです。

安藤:僕自身もそうでしたが、父親となって子育てに関わるようになると、地域とのつながりができます。地域に出ると、会社とは違うプレーヤーがたくさんいて、でも、こういう人たちと共感しながら何かを一緒にやっていくことで、人間的にも大きく成長できると思うんです。僕は子どもが通う小学校のPTA会長を2年つとめました。僕以外の役員はお母さんばかりで、その中に入ってまとめるのは大変なこともありましたが、子どもたちの様子もよくわかるし、先生たちと仲良くなって密度の濃いコミュニケーションをとりながら活動させてもらって、地域での豊かな時間を過ごすことができました。

澁谷:私もPTAをやったのですが、入ってみたらやはり、僕以外の役員さんは皆お母さんでしたね(笑)。あれはすごいですよね。お父さんも2、3人いればいいのにと思いました。お母さん同士だからなのか、話し合いをしても中々決まらなくて。「澁谷君のお父さんはどう思われますか?」って聞かれて意見を言うと、ぱっとそれに決まるんですよね。そこで「次の会議から議長やってもらえますか?」とお願いされたこともありました(笑)。

当社では、男性社員にも「PTAなど地域活動もどんどんやってください」と言っています。男性社員が結婚する時に、私は新郎の上司として結婚式でスピーチするのですが、今申し上げたような話をするわけですよ。「奥様、この先子どもができて、お子さんが熱を出したり、PTAなど地域活動に参加したりする場合は、いつご主人に休んでもらってもいいですよ。私も応援していますから」って言うんです。すると、新郎側だけでなく、新婦側からも拍手がおこるんです(笑)。

安藤:いいですね。昔は上司のスピーチって、「○○君は将来の支店長候補として……」みたいな堅苦しい感じでしたよね(笑)。男性も、仕事で能力のある方は、お金にはならないけど、自分の能力を地域に還元するという意味で、どんどんPTA活動をしてほしいと思います。ファザーリングジャパンでは、パパ会員に「パパ達も、これから管理職になるんだったら一度はPTA会長やっておいたほうが仕事でも有効なマネジメント能力あがるからやってみれば?」ってすすめています。「MBAとるのはお金かかるけど、PTAはタダでできるよ」って(笑)。そのせいか、現在、会員500人のうち、PTA会長経験者は30~40人はいます。それも皆、立候補で。でも地域活動するためにも必要なのはやはり、ワークライフバランスなんですよね。自らの働き方を変えて時間を作り、余裕をもって取り組まないとアップアップになっちゃいますからね。

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【父親には「抵抗できない強さ」が必要】

澁谷:イクボスとちょっと離れてしまうのですが、最近ちょっと、男性が弱いと思うんです。傷つきやすくリスクを恐れるというか。たとえば会社で知らない人に電話をかけてアポをとる仕事があるとすると、女性は相手に何を言われてもがんがん進めるのですが、男性は、相手に「今忙しいから」などと言われてしまうとそこで「だめだ……」ってしゅんとなっちゃう。これはなぜかって考えると、これまで父親が育児にあまり関わってこなかったからじゃないかなって思ったんです。父親が仕事で忙しいぶん育児のほとんどは母親が担ってきたわけですけど、母親って、女の子に対しては厳しいぶん男の子には甘い傾向があるじゃないですか。その名残りが大人になっても残ってしまって、目の前の困難を乗り越えられないのかな、と。

安藤:日本はひと昔前まで、父親がバリバリ外で働き、家にはお母さんしかいなかった。この副作用が、そういう形で出てきているのかもしれませんね。ファザーリングジャパンでも、ママたちにパパについてのアンケートをとると、「いいパートナーだけど、いい父親ではない」という意見が結構多いんです。イクメンなんだけど、子どもに対して甘いとか、過保護すぎるとかママが言ってるわけです。澁谷さんがおっしゃったような、本当の意味で自立できていない社員は、会社側としても困ってしまいますよね。ちょっとつらいことがあっても乗り越えていけるというような強さを育むには、子どもが小さい頃から父親の導きが重要かと。かつての支配的な父親の権力じゃなくて、子どもの内発性を高める「しなやかな父性」のようなものがこれから必要になってくると思います。

澁谷:そうですね。父親って、「抵抗できない強さ」があったほうがいいと思います。

安藤:これから日本は、団塊の世代が2025年頃までに後期高齢者に達することにより、介護や医療など社会保障費の急増が懸念される「2025年問題」と向き合っていくことになります。寿命もますます伸びていて、育児を積極的に行う「イクメンの時代」から家族の介護を担う「ケアメンの時代」に入っていきますので、今のうちに、男性社員の育休などがスタンダード化していた方が、介護休暇もとりやすくなるのではないかと思っています。育児や介護など家族とかかわりあいながらも、仕事とうまく両立できるような仕組みづくりが不可欠ですよね。今後の御社のビジョンを教えてください。

澁谷:やはり、社会がこれだけ多様化してきてしかも変わってきているじゃないですか。ビジネスにおいても、求められる能力が変わってきていると思います。これから求められるのは、主体的に問題を解決できる能力や、ゼロから1をつくりあげる創造性やクリエイティビティ、他人の喜びや悲しみに共感できる能力、将来を予測する能力だと思うんです。このような能力を養うにはやはり、「会社」の中だけではなく「社会」と付き合うこと。子育ての経験や地域とのかかわりなどが、その人自身の能力を高めていくと思います。企業の大小にかかわらず、子育て、介護、福祉とか、そういったところに日本の将来のビジネスのチャンスがたくさんあると思うんです。だからこそ、私にもできることがたくさんあるんです。当社のような小さな会社でも、職場環境を整えて一人でも多くの社員に能力を発揮してもらえると、少しずつ成長してくことができます。

日本はこれから人材難の時代にもなっていきますが、会社にフレキシビリティがあることで、育児や親の介護などでいったん会社を離れた優秀な人材が戻ってきてくれ、会社も成長できるんです。当社でも、現在独身の社員はママ社員が働く姿を見て将来の自分の姿をイメージしながらバリバリ働き、逆に今のママ社員たちは、子どもが大きくなって手がかからなくなったら、会社に戻ってきてバリバリ働く。それによってステージがいれかわりつつ、会社が成長していけたらいいなと思います。

安藤:フレキシビリティは企業のサスティナビリティに繋がります。企業でのイクボスセミナーの時、ボスたちに必ず聞くのは、「あなたのお子さんを、この会社に勤めさせたいですか?」ということです。そこでもし違和感を感じるなら、どこかやり方が違うということだと思います。これから人材難は間違いなく来ますから、御社のようなワークライフマネジメントがしっかりできている会社のほうが、いい人材が確保でき社員が辞めず、業績ものびていくと思います。

澁谷:まったくそのとおりですね。仕事よりも先に、まずは家族ですよ。家庭が安定してないと、仕事は伸びていかないですから。日本は男性ももっと育休をとっていいんです。僕は妻の亡き後、これまでの働き方を変えて、仕事も育児も自分なりに一生懸命やってきました。周りの多くの方から「よくやりましたね」っていわれますけど、これって誰でもできるんですよ。要はやり方だと思います。

安藤:(お隣にいた女性スタッフの)山本さんにとって、澁谷社長はどんなイクボスですか?

山本:私は昨年当社に転職したのですが、社長は女性に理解があるし、不思議なことに、私たち以上に女性の気持ちがわかるんです。女性が喜ぶポイントも知っているし、「こうやったらもっとがんばってくれるんじゃないか」というツボも心得た上で、社員のやりたいことを尊重してやらせてくれるので、私も含めて社員は皆働きやすいと思います。

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安藤:転職されてよかったですか?

山本:よかったですね。心の持ち方がすごく変わりました。会社に来るのが楽しいですね。

澁谷:いや、でも彼女もすごく大変だと思いますよ。だって、やりたいことをしながらも責任を追うわけですから。

山本:もちろん大変です。でも教えてもらいながらできるので、日々成長できますよね。成長を期待されているのが感じられるので、頑張れます。私たちにとって満点のイクボスですね。

澁谷:私にとっては、「社員が誰も辞めない」っていうのがありがたいんです。人間関係とか、家庭との両立、育児との両立が原因で辞めてしまうのがいちばん良くないと思いますし、社員にとっても会社にとってもすごいマイナスですよね。だから、うちの社員には、子どもが熱を出した時、精神的な負担を感じずに堂々と休んでほしいんです。「休んでいいですか?」じゃなくて「休みます」でいいんです。

安藤:子どもを第一に考える組織でありたいし、社会でありたいですよね。イクボスは、やさしいだけじゃなくて、人を育てることもできるボスなんです。人を育てると組織も育つし、社会も育つ。フレキシビリティがあることで、育児が中心で思う存分働けない人も、子育てが一段落したらまた戻って働くことで恩返しをしようとするんですよね。そしてまた生産性が上がっていく。澁谷さん、これからも満点のイクボスとして、さらなる飛躍を期待しています。今日はありがとうございました!

(筆・長島ともこ)

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澁谷さんのご著書『逆境は飛躍のチャンス』はこちら
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2015年08月04日

第17回 大西徳雪さん(セントワークス株式会社 代表取締役社長)

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イクボス・ロールモデルインタビュー第17回は、イクボス中小企業同盟(※)セントワークス株式会社 代表取締役社長の大西徳雪さん。社長就任後、看護師紹介・派遣事業において事業者と登録者のニーズのミスマッチに気づき、自らワークライフバランス・コンサルタントの資格を取得。医療・介護業界向けのワークライフバランス支援の事業化と、長時間労働体質だった社内改革に着手し、残業時間の減少と業績アップを達成した。プライベートでは2児のパパ。週1,2回のジム通いや家族で出かけるキャンプなど多彩な趣味を持つ大西社長に、イクボスの価値観や今後の展望について伺った。

〈大西徳雪さん プロフィール〉
筑波大学第三学群国際関係学類卒業。1996年セントケア・ホールディング株式会社入社。情報システム部門などで勤務後、セントワークス株式会社設立に伴い同社取締役に就任し、2011年4月に代表取締役に就任。2児の父として、家族と過ごす休日を積極的に楽しむ。

【看護師紹介・派遣事業で事業者と登録者のニーズのミスマッチに気づく】

安藤:大西さんはいつから社長に就任されたのですか?

大西:2011年の4月からです。大学時代は福祉ではなく国際関係を学んでいました。卒業後は世の中に貢献できる仕事に就きたいと思い、国際協力系、環境問題系、福祉系の企業にしぼって就職活動していたのですが、縁があって新卒で入社したのが、当社の親会社でトータルな介護サービスを全国規模で展開しているセントケア・ホールディング株式会社でした。入社後は、訪問入浴サービスの現場を約2年経験してから本社部門の経理、総務、情報システム業務などに就いていました。当社の初代社長は、現セントケア・ホールディング株式会社の専務なのですが、2代目の社長として私が就任し、今年で5年目になります。

安藤:当時のご自身の働き方はどうでした? 

大西:本社で経理や総務の仕事をしていた頃は残業も少なかったのですが、介護保険が導入され、情報システム専門の業務につくようになってから残業がどんどん増えていきました。月100時間超えも経験しましたね。27才の時に結婚し、現在小5と小2になる二人の男の子がいるのですが、仕事がいちばん忙しかったその頃、二人目が産まれたんです。妻もフルタイムで働いていましたので、必要に迫られる形で家事や育児は夫婦で分担していました。

私は子どもたちをお風呂に入れる係だったので、仕事が終わっていなくても6時にいったんきりあげて帰宅し、子どもたちをお風呂に入れ、家で夕食を食べてから車で会社に出勤してそのまま徹夜で仕事。そして翌朝、車で会社から家に戻って着替え、電車で出勤するような日々もありました。自宅は小田急線沿線で遠いですし、体力的にも精神的にもかなりきつかったですね。

安藤:それはすごいですね。でも若かったから、なんとかできちゃった?

大西:そうですね。当時35才くらいでしたので、なんとかがんばれました。子どもたちをお風呂に入れるのに加え、家族の朝ご飯づくりも私が担当し、子どもたちに食べさせていました。

安藤:イクメンをやらざるを得ない状況だったのですね。ご自身のそういった経験から、働く人の心身の健康の大切さに気づくようになったのですか?

大西:そうですね。もともと当社の主力事業は、介護事業者向けのシステム開発や販売になりますが、設立当初より介護に関わる人材の派遣や紹介も手がけていて、中でも看護師さんの人材紹介に力を入れていました。当社に登録してくれた看護師さんたちの中にはいわゆる産休、育休明けの方が多く、「夜勤は不可」「土日は不可」という条件つきでたくさんの方が登録してくれました。でもそのいっぽうで、病院や介護施設からの雇用条件は「夜勤必須」が基本で、全然受け入れてもらえないんです。登録側は「働きたいのに働けない」、事業者側は「人手不足なのに解消できない」という、非常にミスマッチな状態だったんですね。

これをどうにかできないかと思った時に出会ったのが、仕事と生活を調和させる「ワークライフバランス」の概念でした。私自身、当時はワークライフバランスは「福利厚生」だと思っていて、正直、当社で取り入れる必要性はあまり感じていなかったんです。でも、ある時新聞で、小室淑恵さんがワークライフバランスについて語っている記事を読んだ時に、ワークライフバランスは、福利厚生とは違うものなのかもしれないと思いまして…。そこで、小室社長のワークライフラバンスセミナーを受講し、認識を新たにしたんです。

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【ワークライフバランス支援の事業化と社内改革に同時着手】

安藤:社会に出て15年働いて、ご自身でワークライフバランスの大切さに気づいたのですね。

大西:そうですね。ワークライフバランスの発想を医療や介護業界にも広めることができれば、先ほど申し上げたような雇用する側とされる側のミスマッチが解消されるのではないかと思いました。それと同時に、これまで長時間労働体質だった当社の働き方も改善していく必要性を感じました。そこで、ワークライフバランスについて1年ほどかけて勉強し、ワークライフバランス・コンサルタントの資格を取得しました。その後2012年4月から、医療・介護業界に向けたワークライフバンスコンサルティング事業を開始しました。

安藤:ご自身が学んだことを事業化したのですね。

大西:そうですね。同時に、社内のワークライフバランスの改善に向けて具体的な取り組みを実施し始めました。

安藤:新規事業の立ち上げと社内改善を同時に進めた。社内改善ではどのようなことを行ったのですか?

大西:まずは社員の意識改革を行いたかったのですが、それまで部署によっては「残業は当たり前」という状態でしたから、「残業を減らすのは物理的に無理なのではないか」という意見もちらほら聞かれました。そこで、最初に真の「ワークライフバランス」の概念を理解してもらってから、具体的なプランを遂行して業務改善を始めることにしました。そのひとつが、社員全員が朝にその日の予定、夜に朝の予定と比較した実績メールを部署全員に送信し、社員ひとりひとりの時間管理能力と情報共有を図る「朝、夜メール」です。

また、月に1回、各部署で「カエル会議」を開催し、ワークライフバランスという視点から見た部署の課題を洗い出し、その課題を解決するためのアクションプランを策定しました。組織編成についても、社内にワークライフバランスコンサルティング担当を一人配置し、各部署でも責任者とは別にワークライフバランス担当を決め、それぞれの現場で課題に向き合えるようにしました。

安藤:大西さんも「カエル会議」には出席していたのですか? 会議の雰囲気はどうでした?

大西:最初の5回は全部署の「カエル会議」に出席したのですが、そもそも「ワークライフバランス」って、ボトムアップの発想じゃないですか。当時は会社全体が、所属長にいわれるままに動くようなトップダウン型の体質だったせいか、具体的な意見はなかなか出なかったですね。ですので、働き方などについて思ったことをふせんに書いてもらい、それを皆で発表しあったりするなどこちらから働きかけながら進めていました。

安藤:印象に残った意見はありましたか?

大西:多かったのが「仕事が属人化している」という意見です。ある業務を特定の人が担当し、その人にしかやり方が分からない状態になってしまい、その状態が当たり前になってしまうとまとまった休みがとりにくくなりますよね。それを皆が変えたいと思っていることがわかりました。

安藤:その意見に対して、何か具体的な対策は考えたのですか?

大西:各部署にワークライフバランス担当を配置していたので、こちらから特別なアプローチはせず、部署ごとに改善策を考え、主体的に動いてもらうようにしました。

安藤:なるほど。それで状況は変わりましたか?

大西:随分変わりましたね。一次対応レベルの業務であれば、ほとんどの部署で属人化の問題が解消し、業務がスムーズに運ぶようになりました。「Aさんの代わりをBさんが100%できる」というところまではいかないですが、これまで属人化が顕著で1週間くらいの長期休みがなかなかとれない部署だった総務部門が、4、5人でチームを組み、うまく仕事を分担しながら休みがとれるようになりました

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【「ノー残業デー」に残業する社員は「恥ずかしいマント」を着用】

安藤:セントワークスさんのユニークな取組みで忘れてはいけないのが、「恥ずかしいマント」ですよね。

大西:そうですね。毎月第3水曜日は「必達ノー残業デー」と決め、必ず定時に業務を終了するように決めました。万が一この日に残業しなければならない場合は「恥ずかしいマント」を身につけて残業してもらうようにしたんです。マントの背中の部分に、退社予定時刻を書いて仕事してもらうことにしました。

安藤:大西さんのアイディアですか? このマントはどこで買ったのですか?

大西:他社のストラップ残業を参考にした私のアイディアです。マントはスタッフに、100円ショップで買ってきてもらいました。現在社内に10着くらいありますよ。

安藤:ご自身の気づきでワークライフバランスに着目し、ユニークで合理的な業務改善を行ったのですね。成果は具体的にどのように現れましたか?

大西:取り組み開始から約8カ月で、残業時間はほぼ半減、残業代も4割以下に削減しました。同時に売り上げは前年比114%、営業利益は前年比162%になりました。これらの改善の背景には、受注の増加など業績が好調だったこともありますが、各部署で力を合わせて取り組んだ残業時間削減の影響も大きいと思います。現在でも、一人あたりの残業時間は当時の半分くらいです。

安藤:育休の取得状況はどうですか?

大西:女性社員は積極的に取得し、復帰率も高いです。男性の育児取得者も二人います。その一人が、同席している一之瀬君です(写真右)。

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安藤:一之瀬さんは、育休はどのくらい取得したのですか?

一之瀬:少しだけです。土日入れて5日間取りました。

安藤:それはあまり自慢しないほうがいいですね(笑)。でも取ったという実績が今は大事。でも本当は1カ月以上休めるといいですよね。ところで御社の平均年齢は?

大西:40才くらいです。新卒は親会社のほうのみで採用しているので、当社は平均年齢が少しずつ上がってしまうんです。

安藤:離職率はどうですか?

大西:正社員の離職率は低いのですが、全従業員の55%を占める契約社員の離職率は高いですね。給与などの待遇面も原因のひとつとして考えられるますので、ワークライフバランスの取り組みの中で、時給制から月々の固定給に変えたり、正社員としての登用をすすめたりなどもしています。

安藤:介護業界は、どんどんマーケットが広がってきていますね。御社の業務支援システム「看護のアイちゃん」はヒット商品ですよね。

大西:そうですね。「看護のアイちゃん」は訪問看護のアセスメントシステムです。訪問看護って、看護師が基本一人で担当するので、ベテラン看護師と新人看護師で、そのサービスにすごく差が出てしまうんです。これまでのようにスタッフ個人の知識や経験だけに頼るアセスメントでは、判断のものさしがまちまちになるというリスクがありました。そこで、ベテラン看護師なら患者さんの状態をどのように判断してどのような処置をするのかが一目でわかるようなつくりにしたのです。これを使っていただくことにより、質の高い看護の提供が可能になると思います。

安藤:現在、介護休業制度の改定に向けて厚労省が定期的に研究会を開催しているのですが、「介護休暇を小刻みにとれるようにしたらどうか」という案も出ています。実現すれば、自宅でケアマネージャーといろいろ相談するのに1日だけ休みをとったりなどができるようになる可能性もあります。このようなことからも、今後、訪問看護が増えるような気がしますね。

大西:そうですね。訪問看護は増えていくと思います。

安藤:自宅近くのママ友が、介護士でこれまで病院につとめていたのですが、仕事が大変で病院をやめて、今は訪問介護の仕事しているんです。昼間、移動中に良く会うんですよ。「どこ行くの?」って聞くと、「これから昼間の訪問の仕事」って。身近でも増えていますね。介護に携わる人たちの中には、御社で働きたいという人も多いのではないですか?

大西:そうですね。ワークライフバランスの取り組みを始めてから、当社に応募してくださる半分くらいの方の応募動機が「セントワークスさんはワークライフバランスに取り組んでいるから」というものです。

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安藤:ワークライフバランスを導入して、労働生産性があがってきている御社ですが、社員の健康度はいかがですか?

大西:あがってきていると思います。年に1度、社内で健康についてのアンケートをとっているのですが、「週に1日運動していますか?」の項目に「YES」と答える社員が年々増えてきています。

安藤:すばらしい。大西さんご自身もお元気そうですもんね。何か運動はされているのですか?

大西:ありがとうございます。週に1、2回、ジムに通っています。

安藤:飲みニュケーションのほうはいかがですか?

大西:会社のイベントとして年に4回開催しているのですが、それには毎回参加しています。あとは各部署にまかせていて、部署から「社長も参加してください」という依頼がくれば参加しています。

安藤:ご家庭では以前と変わらず育児・家事しているのですか?

大西:そうですね。朝ごはんは相変わらず毎日私が作っています。お風呂は、ちょっと前までは週末とかにいっしょに入ってたんですけど、最近は子ども同士で入るようになってきまして……。お風呂にはあまりいっしょに入らなくなりました。

安藤:育児は期間限定ですもんね。イクメンでもあり、イクボスでもある大西さんの今後のビジョンを教えてください。

大西:私の今後の目標は、少子高齢化社会に貢献するということです。これから日本だけでなく、アジアの方、中でもシンガポール、タイ、韓国、中国は高齢化が進んできていますので、新しいシステムを展開してこれらの国々の役に立っていきたいですね。

また、介護業界は人手不足なので、アジアの人材に来てもらい、働いてもらうことでも貢献できればと思っています。厚生労働省が、2025年までに高齢の方々が重度な要介護状態となっても住み慣れた地域で自分らしい暮らしを続けることができるよう、地域が一体となって医療や介護サービスを提供する「地域包括ケア」を完成させようと動いていますので、私たちにもそこに向けて、今後10年かけてしっかり対応していきたいと思っています。

【ワークライフバランスは「福利厚生」ではなく「経営戦略」】

イクボス⑫.jpg(イラスト:東京新聞)

安藤:大西さんは、イクボス10カ条はいうまでもなくすべてクリアですね。

大西:私自身、ワークライフバランスは最初は福利厚生だと思っていたんです。しかし、実際に学び、実践してみると、ワークライフバランスは「経営戦略」としても非常に大切なことであることに気づきました。

安藤:「ワークライフバランス」は、「余裕がないとできない」ことではなく、「余裕をつくるために実践する」ことなんですよね。それによって社員の働き方が変わり健康になることが大切なんです。「うちは中小企業だからできない」という企業担当者もいるけど、そうじゃない。イクボスプロジェクトでは、セントワークスのように残業時間を削減しても業績を上げている中小企業もあるということを今後も周知していきたいと思っています。ところで大西さんは、ジム以外で何か趣味はお持ちですか?

大西:去年から、家族でキャンプに出かけるようになりました。キャンプグッズを少しずつ買い足しているうちに、全部車に乗り切らなくなってきてしまいまして……。私だけでなく、妻も結構買っているんですよ(笑)。

安藤:夫婦で共通の趣味があるのはいいですね。キャンプはどの辺に行くのですか?

大西:今年は芦ノ湖のそばにいきました。ちょうど大湧谷が立ち入り禁止になる前日で、ぎりぎりセーフで温泉卵が買えたので、思い出深いですね(笑)。今年の夏休みはフェリーを使って北海道にキャンプに行く予定です晴れ

安藤:そのような休暇をとることは、社員の方に伝えるのですか?

大西:もちろん伝えます。実は、夏休みをとる予定のお盆の時期に親会社の取締役会があるのですが、取締役会の決議の申請書を出してしまうと会議に出席しないといけなくなるんです。そうすると夏休みがとれなくなってしまうので、なるべく前倒しにし、7月の取締役会に提出できるように部下に依頼しています(笑)。

安藤:子どもとキャンプを楽しめるのも期間限定ですもんね。本当に満点のイクボスですね。

大西:ありがとうございます。

安藤:一之瀬さんからみて、大西社長はイクボスですか?

大西:かっこいいイクボスです。有限実行ですよね。以前は長時間労働だったと聞いているのですが、ある意味マイペースで、何事にも自分の意思をもって取り組んでいると思います。子どものことも公表して、「今日は子どもが発熱したので午前中休みます」など責任者メールで普通に来るので、今後自分に同じようなことが起きたときもいいやすいですね。

安藤:これまでに一之瀬さんご自身に、そのような局面はありました?

一之瀬:私は子どもが産まれてまだうまれて2か月ちょっとなので、発熱とかはまだないんですけど、これから多分出てくると思います。

安藤:一之瀬さんが、お子さんが突然熱を出して午前休みになったら、社長としてはいかがですか?

大西:会議の欠席くらいだったら問題ないですね。ただ、彼は単独で営業していてちょっと属人化している仕事があるので、クライアントさんに行く予定の時はどうするかが問題ですね(笑)。

安藤:イクボス企業同盟でさまざまな企業の方とお会いしていますが、仕事に穴をあけないよう、皆さんいろいろ工夫されていることがわかります。例えば電鉄会社の運転手さんって、片方が寝坊したり急な発熱などのトラブルに見舞われても大丈夫なように、昔から必ず二人一組なんですって。それを知った時、ホワイトカラーでも実践していいのではないかと単純に思いましたね。とある会社も2人1組体制で業務を進めていて、2カ月先くらいまでお互いのスケジュールをすりあわせて、カバーしあっているんです。そのほうが、合理的だなって、見ていて思います。

一之瀬:そうですね。完全二人体制っていいですね。

安藤:ワークライフバランスに取り組むようになってから、2013年にワークライフバランス大賞奨励賞を受賞し、2014年には厚生労働省が認定する「子育てサポート企業」にも認定されました。このような取り組みで、メディアの取材も増えているようですね。

大西:そうですね。昨年、日経新聞に出てから、テレビや雑誌などの取材が増えました。(メディア掲載一覧はこちら

安藤:社員の方は、掲載された記事やONAIRされた番組を見ていますか?

大西:そうですね。よくチェックしていますよ。上京して働いているスタッフが、「今日テレビに出るから」などと親御さんに電話したりもしています。

安藤:御社のような会社なら、社員の親御さんも安心しますよね。最近はブラック企業なんて言葉もありますから、親御さんも子どもが勤める会社がどんな会社が心配だそうです。イクボスセミナーでも、経営者や管理職への最後の殺し文句は「あなたのお子さんを、この会社に勤めさせたいですか?」です。

これからのセントワークスさんの取り組みに、ますます期待しています。今日はありがとうございました。

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(筆・長島ともこ)

※ファザーリング・ジャパンでは2014年12月に設立した『イクボス企業同盟』に続き、2015年7月に『イクボス中小企業同盟』を新たに設立しました。日本の企業の9割以上が中小企業であることを鑑み、また中小でもダイバーシティやワークライフバランスの社内施策をもって業績を上げたり、人材採用面でキラリと光る企業も多いことから『イクボス中小企業同盟』でネットワークを構築し成功事例などを共有することを目的とします。今後、女性活躍やイクメン・ケアメンなど社員が多様化する時代において、「イクボス」の必要性を認識し、積極的に自社の管理職の意識・マネジメント改革を行い、新しい時代の新しい経営の下、元気な中小企業を増やす『イクボス中小企業同盟』にご期待ください。
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posted by イクボスブログ at 07:33| Comment(0) | インタビュー | 更新情報をチェックする
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